雑談213

前回で若い女性の話をしましたが、高齢者に関係ない話ではありません。

太りすぎを警戒するあまり食事量を過剰に減らす人が多いですが、そこには深刻な代謝異常と健康寿命を縮めるリスクがあります。
加齢にともなって手足の筋肉量が減少する一方で、内臓や筋肉の細胞の隙間に脂肪が蓄積していく現象が確認されています。
これにより、体重が軽くて見た目は細く見える人であっても、体内は脂質異常や高血糖などのメタボリックシンドロームのリスクを抱えることになります。
これが、自分は太っていないから関係ないと思い込んでいる高齢者に多く見られる、痩せメタボの実態です。

痩せているのに代謝異常になる原因は、加齢による自然な筋肉の減少に加えて、栄養不足や運動不足が招く異所性脂肪の蓄積です。
十分なタンパク質を摂取せず、体を動かさない生活を続けていると、糖を処理して消費してくれるはずの筋肉が削ぎ落とされ、その少ない筋肉の隙間に霜降り肉のように脂肪がこびりついてしまいます。
この状態は、筋肉減少症であるサルコペニアと肥満のリスクが合併した、サルコペニア肥満という病態に進んでしまいます。
統計や臨床研究によると、サルコペニア肥満に陥った高齢者は、単に太っているだけの人や、筋肉量が正常な人に比べて、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが約2倍から3倍高くなることが分かっています。
さらに、歩行速度の低下やバランス能力の喪失によって、転倒や骨折を起こすリスクも高まります。
体重が落ちてスッキリした、体が軽くなったと安心している体型は、実際には必要な筋肉量が大きく減少し、本来の健康を維持するための機能が失われているケースが少なくありません。
見た目の細さに隠れて、体内は肥満者並みのメタボ状態になり、介護が必要となるリスクが高まっている、これが高齢者の痩せメタボの現実です。