雑談218
寒くなってきましたね〜
東洋医学では、冬の三ヶ月間を閉蔵(へいぞう)の時期と呼びます。
万物が門を閉じ、大切な生命力を内側に深く蓄える時間のことです。
この季節の最古の戒めには、皮膚から汗を漏らすなという言葉があります。
厳しい寒さの中で毛穴を開き、滝のような汗をかけば、体を温める貴重な熱エネルギー(陽気)まで一緒に逃げてしまうと考えたからです。
しかし、暖房が行き届き、保温性の高いインナーに守られた現代の暮らしを眺めると、この言葉をそのまま真に受けるわけにはいきません。
冬だからと全く汗をかかずに縮こまっていれば、汗腺はなまり、体内には余分な水分が溜まって、かえって冷えやむくみやすくなってしまう。
2000年前の過酷な寒さと、現代の快適な室内の間には、明らかなギャップが存在するのです。
東洋医学が本当に恐れたのは、汗そのものではなく、終わった後にドッと疲労が残るようなエネルギーの消耗です。
ならば現代では、ゼロか百かではなく、心地よい塩梅を探せばいいのです。
息が切れるような猛特訓や、限界まで耐えるサウナで大汗を流すのではなく、日常のなかにしっとりと肌が潤うような汗を優しく取り入れるのです。
早足のウォーキングでじんわりと体を巡らせ、湯船の中でじわっと肌を湿らせる。
それは、なまりがちな現代人の代謝をほどよく起こしつつ、内なる生命力の貯蔵庫である腎を傷つけない、現代人の新しい養生です。
食卓には、腎を労る黒豆や黒ごまを並べ、お腹を温める生姜湯をとる。
そして、太陽が昇って世界が少し温まってから動き出す早寝遅起きの精神を、忙しい日々の隙間に少しだけ意識してみる。
気負う必要はありません。
現代の便利さを享受しつつ、自然の巡りに合わせてゆったりと守りを固め、自分を慈しむ。
そんな新旧の知恵を織り交ぜた冬の養生は、冷たい季節を心地よく、そして何より健やかに生き抜く方法です。
