雑談167
前回は高血圧がいかに血管をボロボロにするかというお話をしました。
「じゃあ、一度硬くなった血管はもう手遅れなの?」と不安になった方もいるかもしれません。
安心してください。血管は、日々のちょっとした心がけでしなやかさを取り戻すチャンスがあります。
血管の健康を保つことは、単なる病気予防ではありません。
人生の質(QOL)を高く保つための、費用対効果の高い自分への投資です。
血管を老けさせる最大の敵は、体内の酸化と糖化です。
「酸化」とは、体内で発生した活性酸素が、血管の細胞を傷つけてしまう現象です。
本来は体内の異物を攻撃する活性酸素が、ストレスや不摂生で増えすぎると、味方である血管の壁を攻撃し始めます。
血液中の悪玉(LDL)コレステロールが酸化すると、血管壁にへばりつくドロドロの塊に変化します。
これが血管を狭くし、弾力を奪う直接の原因となります。
ビタミンCやE、ポリフェノールといった抗酸化物質を摂取することで、この過剰な攻撃を中和することができます。
ハイカカオチョコレート、トマトのリコピン、ブロッコリーのビタミン、ナスやブルーベリーなどにポリフェノールは含まれます。
これらに含まれるフィトケミカルは、血管を酸化から守り、血管壁のダメージを修復してくれます。
糖化とは、食事で摂りすぎた余分な糖が、体内のタンパク質と結びつき、血管を劣化させる現象です。
糖とタンパク質が熱(体温)によって結びつくと、AGEs(最終糖化産物)という老化物質が生成されます。
ホットケーキが焼けて茶色く硬くなるのと似た現象が、血管内で起きています。
血管の大部分はコラーゲンというタンパク質でできています。
これが糖化してAGEsが溜まると、しなやかだった血管壁がカチカチに硬くなり、非常にもろくなってしまいます。
血糖値を急上昇させない食べ方や、高温で調理しすぎた食べ物(揚げ物や焼き物)を控えることが有効です。
サバやイワシなどの青魚に含まれるEPA・DHAは、血液をサラサラにし、血管を柔らかく保つ手助けをしてくれます。
今、注目されているのが血管内皮細胞から出るNO(一酸化窒素)
血管の最内層にある血管内皮細胞は、実は血流や血圧をコントロールする高度なセンサー機能を備えています。
ここを活性化させる鍵は、NOの産生にあります。
これには血管を拡張させ、しなやかにする働きがあります。
これを出すのに最も効果的なのが、ちょっとした運動です。
激しいトレーニングは必要ありません。
一定のリズムで行うウォーキングや、ふくらはぎを意識したステップは、血管壁に心地よい摩擦を与え、NOの分泌を促します。
隣の人と笑顔で会話できる程度のウォーキングが血管には一番の薬になります。
また、テレビを見ながらかかとを上げ下げするだけ。
ふくらはぎは第2の心臓と呼ばれ、ここを動かすことで全身の血流が良くなり、NOが分泌されやすくなります。
血管は、急な刺激を受けるとギュッと縮んで硬くなります。
冬場の脱衣所やトイレなど、急な温度変化は血管にとって最大のストレス。
首元を温めたり、部屋の温度差をなくすだけで、血管の寿命はぐんと延びます。
40度前後のぬるめのお湯にゆっくり浸かることは、物理的に血管を広げるだけでなく、副交感神経を優位にし、血管の過度な緊張を解きほぐしてくれます。
塩分を摂りすぎると、身体は薄めようとして水分を溜め込み、血流量が増えて圧力が上がります。
出汁の旨みやレモンの酸味を活用して、塩に頼らない美味しさを見つけてみましょう。
意外かもしれませんが、血管の状態はその人の心のありようを如実に反映します。
怒りや緊張は交感神経を刺激し、血管を即座に収縮・硬化させます。
一日に数分、深く静かな呼吸に意識を向けるだけでも、血管にかかる物理的なストレスを劇的に軽減できることが科学的に証明されています。
いきなり全部を変える必要はありません。
今日から一口多く野菜を食べる、一回多くかかとを上げることから始めてみませんか?
