雑談168
鍼灸治療が血圧に与える影響については、東洋医学的な経験則だけでなく、現代医学の視点からも研究が進んでいます。
鍼灸には自律神経のバランスを整え、血圧を安定させる(特に下げる方向に働く)効果が期待されています。
鍼や灸による刺激は、皮膚や筋肉にある神経を通じて脳へと伝わります。
刺激が脳の視床下部に届くと、交感神経(興奮の神経)の活動が抑制され、副交感神経(リラックスの神経)が優位になります。
その結果、緊張して収縮していた血管がふんわりと広がり、物理的に血流の抵抗が減るため、血圧が緩やかに降下するのです。
前回ご説明したNO(一酸化窒素)ですが、鍼刺激そのものが局所の血管内皮細胞を活性化し、NOの放出を促すという研究結果があります。
鍼を刺した周囲の血流が増える軸索反射という現象が起き、その過程で血管をしなやかにする物質が分泌されます。
これが全身的な血圧管理のサポートに繋がります。
実はWHOは1979年の段階で、鍼灸治療が有効な疾患の一つとして高血圧症を挙げています。
もちろん、これだけで全てが解決するわけではありませんが、ストレス性の高血圧や、更年期に伴う血圧の変動などには、非常に相性が良いとされています。
鍼灸は急激に数値を落とすものではなく、身体が本来持っている調整機能を呼び覚ますものです。
そのため、酸化や糖化で傷ついた血管へのメンテナンスの一つとして、非常に理にかなっているといえます。
