雑談187
血管の老化は全身の健康寿命を左右する最も重要な要素の一つです。
そして近年、夏の猛暑に伴って注目されているのが、血管の老化と熱中症の恐ろしい相乗効果です。
一見すると別々の問題に思えるこの二つは、体温調節という生存システムにおいて深く結びついています。
血管の老化が熱中症を招く最大の理由は、熱を外に逃がすラジエーターとしての機能が失われるためです。
人間は暑さを感じると、皮膚の血管を大きく広げて血液を体表に集め、外気に熱を逃がそうとします。
しかし、動脈硬化などによって老化した血管は、カチカチに硬くなっており、脳が命令を出しても物理的に広がることができません。
さらに、毛細血管の衰えは汗腺への水分供給を滞らせ、発汗量そのものも低下させます。
結果として、熱がすべて体内にこもり、深部体温が危険なレベルまで急上昇してしまいます。
また、熱中症が引き起こす脱水症状は、老化した血管に対して致命的な引き金となります。
体温を下げるために水分が失われると、血液はサラサラの流れを失い、ドロドロとした状態に変化します。
しなやかな若い血管であれば多少のドロドロにも耐えられますが、すでに内側が狭くなり、柔軟性を失った老化した血管では、このネバついた血液が容易に流れを止めてしまいます。
これが、夏の熱中症の裏で脳梗塞や心筋梗塞が多発する二次災害のメカニズムです。
さらに深刻なのは、血管の老化に伴って、暑さや喉の渇きを感知するセンサーの感度も鈍ることです。
体が限界を迎えているにもかかわらず、本人はまだ大丈夫だと錯覚するミスマッチが起こります。
したがって、ここでの生存戦略は、自分の感覚という主観を一切信用しないことです。
喉が渇いたから飲む、暑いからエアコンをつけるという行動パターンでは間に合いません。
一時間に一度は必ずコップ一杯の水を飲む、室温計を見て二十八度を超えていたら必ず冷房を入れるというように、外的なルールで機械的に体を管理することが、老いていく血管を熱の暴走から守るための本質的な対策となります。
