雑談197
病院などで体の不調を年齢のせいと片付けられることに、割り切れない思いを抱く方は少なくありません。
しかし、私たちが平等に年齢を重ねる一方で、体が衰えるスピードには大きな個人差があります。
近年の医学研究では、その差を生み出す最大の要因が運動不足にあることが、科学的なエビデンスによって証明されています。
長年にわたり体を動かさない生活を続けていると、単に体力が落ちるだけでなく、体内の精巧な仕組みが崩れ、細胞のレベルで老化の時計が急速に進行してしまいます。
例えば、座っている時間が長い生活は、染色体の端にあり細胞の寿命を決めるテロメアという構造を急速に縮ませてしまいます。
高齢者を対象にした海外の研究では、この細胞の寿命の縮まり方によって、運動不足の人はよく動く同じ年齢の人に比べて、細胞の年齢が8歳も老けていることが分かっています。
また、私たちの筋肉は使わない期間が続くと、脳がその筋肉を不要であると判断し、筋肉を分解して数を減らす自己破壊の仕組みが働きます。
実験では、たった2週間脚を動かさずにいるだけで、自然に衰える何十年分もの筋肉が一気に失われてしまうというデータもあります。
さらに、脚を動かす歩行などの運動は、脳内で神経細胞の成長や維持を助ける肥料のような役割を果たす栄養物質の分泌を促す強力なトリガーとなっています。
運動不足によってこの栄養供給がストップすると、脳の神経細胞が飢餓状態に陥り、脳が縮むスピードをも著しく加速させてしまいます。
つまり、日々の不調は決して年齢のみによるものではなく、長期間にわたって体を動かさなかったことに対して、体が発している危険信号でもあるのです。
テレビやスマホ画面を観る時間があるにもかかわらず、身体を動かす習慣が組み込まれていないのであれば、それは自ら老化の仕組みを加速させてしまっている状態と言わざるを得ません。
しかし、これは裏を返せば、自分の意志と行動次第で、これからの老化のスピードはいくらでもコントロールできるということでもあります。
長年運動から遠ざかっていた方ほど、少しの刺激で身体は大きく応えてくれ、若返りの効果が現れやすいことが分かっています。
年齢を理由に諦めてしまうのは、非常に惜しいことです。
まずはテレビやスマホを観ている時間のほんの一部を、座ったままでできる足踏みなどの軽い運動に充て、ご自身の力で健やかな身体を取り戻してみてはいかがでしょうか。
