雑談171
長期的な低栄養状態が血管にどのような影を落とすのか。
まず、最も懸念されるのは、血管そのものの強度が失われることです。
血管の壁は、コラーゲンやエラスチンといったタンパク質によって、しなやかさと強さを保っています。
深刻なタンパク質不足が続くと、血管壁の修復が追いつかず、ホースの壁が薄くなるように血管が脆くなってしまいます。
これにより、将来的に血圧が少し上がっただけでも、血管がダメージを受けやすい脆弱な体質になってしまうのです。
次に、女性ホルモンの低下がもたらす血管の老化です。
極端な痩せは、脳が飢餓状態だと判断し、生殖機能を後回しにするため、若くても女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が止まることがあります。
エストロゲンには血管を広げ、しなやかさを保つという強力な保護作用がありますが、この守りが失われることで、20代や30代であっても、血管の状態が閉経後の高齢者に近いレベルまで老化してしまうリスク、いわば血管の早期老化を招きます。
さらに、脂質代謝の異常という意外な落とし穴もあります。
痩せているから脂質とは無縁と思われがちですが、低栄養状態が続くと、身体は危機を感じて自らの脂肪を過剰に燃やしてエネルギーを作ろうとしたり、肝臓での脂質合成のバランスが崩れたりすることがあります。
その結果、痩せているのに血液中のコレステロール値が高い状態になり、細く脆い血管の壁に汚れが溜まり始めるという皮肉な現象が起きるのです。
最後に、毛細血管のゴースト化も無視できません。
血液を送るためのエネルギーや栄養が不足すると、生命維持に直接関係のない手足や肌の表面にある毛細血管まで血液が回らなくなり、血管が消失してしまうことがあります。
これが慢性的な冷えや、肌のくすみ、傷の治りの遅さの原因となり、外見的な老けを加速させます。
