雑談216

消費カロリーと摂取カロリーが同じ状態であっても、太らずに筋肉を増やすことは可能です。
一般的には筋肉を増やすには食べまくって摂取カロリーを大幅に増やす必要があると思われがちですが、カロリー収支が均等であっても、体内の脂肪を減らしながら同時に筋肉を増やすことができます。
この現象はスポーツ科学で身体再構成と呼ばれており、何歳からでも起こすことが可能です。
カロリー収支が同じということは体重自体はほとんど変わりません。
しかし、適切なアプローチを行うことで、体脂肪の分解によって生じたエネルギーが筋肉の合成へと回されるため、体重をキープしたまま引き締まった力強い身体を作ることができます。

カロリーが同じままで筋肉を増やすには、いくつかの絶対条件をクリアする必要があります。
まず適切なレジスタンストレーニング、つまり筋肉への抵抗運動が必要です。
ウォーキングは素晴らしい有酸素運動ですが、筋肉を増やすための強い刺激としては少し足りません。
筋肉に一定以上の負荷を与えない限り、身体は筋肉を新しく合成しようとはしないのです。
そのため、60歳以上の方でも無理なく行える運動として、椅子に座った状態からゆっくり立ち上がるスクワットや、壁に手をついて行う腕立て伏せなど、自分の体重を活かした安全な筋トレを生活に取り入れることが重要になります。

次に高タンパク質な食事です。
タンパク質を食べているつもりでも、筋肉を増やすための目標量に達していない高齢者の方は非常に多く見られます。
さらに高齢期は、胃腸の消化吸収能力が低下するため、食べたタンパク質が体に吸収されにくくなるという特徴があります。
そのため、若い世代よりもむしろ多めにタンパク質を摂る意識が必要になります。
総カロリーは維持したまま、食事のバランスを変えてタンパク質の割合を増やす必要があります。
タンパク質が不足していると、いくら歩いたり筋トレをしたりしても筋肉は絶対に増えません。
目標摂取量は1日あたり体重1キログラムあたり1.2グラムから1.5グラムの摂取を目指します。
例えば体重60キログラムの人であれば、1日に72グラムから90グラムのタンパク質が必要になります。
これは毎食ごとに手のひら1枚分以上の肉や魚、卵、大豆製品などをしっかりと食べ、さらに間食で牛乳やヨーグルトなどを補うことでようやく達成できる量です。
一度にまとめて食べても吸収しきれないため、朝、昼、晩の3食に均等に分けて、こまめに多めのタンパク質を取り入れる工夫が効果的です。
タンパク質を増やす分、お菓子などの炭水化物、油っこい脂質の量を少し削って、総カロリーが消費カロリーと同じになるよう調整します。

そして十分な睡眠と休息です。
筋肉は運動している最中ではなく、寝ている間や休んでいる間に作られます。
7時間から8時間の質の高い睡眠を確保し、ストレスを溜めないことがホルモンバランスを整え、筋肉の成長を促します。

ただし、このカロリーが同じでも筋肉が増える現象はすべての人に同じように起こるわけではなく、効果が出やすい人と出にくい人がいます。
効果が出やすいのは、伸び代が大きい筋トレ初心者や、エネルギー源となる脂肪が体に適度にある人、あるいは過去に運動経験があって再開した人です。
一方で、すでに何年もハードに筋トレを続けている上級者や、エネルギー源が少ないすでに体脂肪率がかなり低い痩せ型の人、生まれつき太りにくい体質の人は効果が出にくいため難易度が高くなります。

すでに痩せている高齢者の方がさらに筋肉を増やしたい場合は、やはり消費カロリーよりも300キロカロリーから500キロカロリー程度多めに食べる期間を作るほうが効率的です。
現在の体重を維持したまま、あるいは太るのが怖いという場合でも、ウォーキングに加えて少しの筋トレを行い、吸収の低下をカバーする十分な量の高タンパクな食事を徹底していれば、カロリーが均等であっても筋肉を増やし、元気に動ける身体を引き締めていくことは十分に可能です。