ウォーキングと認知症予防

①「調査の結果、18~30歳の時点からずっとテレビの視聴時間が長かったり、運動不足の生活を続けたりしている人は、認知能力が低下しやすいことが明らかになった。
「テレビの視聴時間が1日に4時間を超えている」という条件が当てはまる人は11%、「座ったまま過ごす時間が長く、低強度の身体活動を1日に50分しか行わず、消費カロリーが300kcal以下」といった条件が当てはまる人は17%、両方が当てはまる人は3%だった。
 2つの条件は揃う人では、そうでない人に比べ、認知機能の低下が2倍以上認められることが判明した。」

「「CARDIA」研究では、18~30歳の時点で運動不足によって運動能力が低下している人は、年齢を重ねると糖尿病を発症する割合が高いことも確かめられている。
 運動を習慣として続けると、体重の増加が抑えられ、内臓脂肪が減る。筋肉量を増やすことで、体の基礎代謝が向上する。さらにインスリン抵抗性が改善し、血管の状態が良くなり、炎症や酸化ストレスの影響も少なくなる。
「若い頃から座ったまま過ごす時間が長く、運動不足の生活スタイルを続けている人は、年をとってから認知機能の低下が起こりやすいことが明らかになりました。体を動かす時間の減少は脳の老化につながります」と、ホアン氏は言う。
現代人は、テレビやスマートフォン、インターネットなどの画面を見て過ごす時間が長い生活をおくっており、運動不足に陥りやすい。
アルツハイマー病などの認知症を予防するためには、運動や身体活動の減少を防ぐことが必要だ。
運動不足を減らす習慣は、若い頃に始めるとそれだけ効果があることが判明した。
40歳を過ぎて運動をする習慣のない人は、年をとってから認知症を発症するのを防ぐために、すぐにでもウォーキングなどの運動をはじめた方が良い。」

②「調査の結果、40歳の時点でランニングマシンの運動成績が良くなく、運動能力が低下していた人は、20年後に脳が早く萎縮していることが判明した。
運動能力がもっとも低かったグループでは、もっとも高かったグループに比べ、脳の容量がより減少しており、老化が2年分加速していることが判明した。
さらに心疾患の症状があったり、高血圧の治療薬であるベータ遮断薬を服用している人を除外して解析したところ、運動能力の低かった人では脳の老化が1年分加速していることが分かった。」
「40歳代に受けた運動テストで、心拍数、拡張期血圧(最低血圧)が大幅に上昇していた、つまり体力のない人たちは、体力のある人たちに比べて、約20年後に大脳の容積が減少することも突き止められた。
今回の研究は、若い頃からの運動の継続が重要であることを裏付ける結果になった。
40歳の頃にウォーキングやランニングをするとすぐに息切れするという人は注意が必要だ。
運動をすれば血流が増え、より多くの酸素が脳に運ばれる。
過去の研究では、短い時間でもウォーキングなどの運動をすることで、脳の認知機能をコントロールする部位の活動が活発になることが確かめられている。
「加齢に伴い脳が萎縮し、認知機能が低下すると、認知症の発症リスクが高まります。
運動を習慣として続けることで、脳の萎縮や認知機能の低下をくいとめられる可能性があります」」

運動不足でテレビ視聴時間が長い人はご注意 認知症リスクが上昇
40歳時の運動不足が脳の萎縮につながる 認知症予防のために運動が必要