骨と喫煙

喫煙することで、骨粗しょう症や大腿部頸部骨折が増加します。
そして、DNA障害や炎症、酸化ストレス等で、ガン、循環器系疾患、呼吸器系疾患などをおこします。
ほかにも、傷が治りにくくなったり、術後に呼吸器の合併症、消化性潰瘍、歯周病、白内障や失明の原因となる加齢性黄斑変性がおこります。

喫煙の健康影響ほどヒトでの観察研究がされているものは他にはない、といってもいいほど古くから研究されています。
たくさんの研究結果を集めて選び総合的に判断するということも数多くなされています。
タバコを吸っていた期間と量が、リスクの大きさや重症度と直接関係しています。
タールやニコチン量の少ない製品であっても、主な健康被害の軽減はされないそうです。

喫煙によっておこる病気には、肺ガン、口腔・咽頭ガン、鼻腔・副鼻腔ガン、食道ガン、胃ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、膀胱ガン、子宮頸部ガン、虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)呼吸機能低下、結核による死亡などがあります。
そのほか、2型糖尿病の発症、ニコチン依存症があります。
タバコを吸うと血糖値が上がりやすく糖尿病にかかりやすいだけでなく、糖尿病患者がタバコを吸い続けていると脳梗塞や心筋梗塞・糖尿病性腎症などの合併症のリスクが高まります。
妊婦の喫煙によりおこるものは、乳幼児突然死症候群(SIDS)、早産、低出生体重・胎児発育遅延があります。

喫煙との因果関係を示唆されている病気は、大腸ガン、腎盂尿管・腎細胞ガン、乳ガン、前立腺ガン死亡、急性骨髄性白血病、子宮ガンのリスク減少、ガン患者全体の生命予後悪化、再発リスク増加、治療効果低下および治療関連毒性(治療による副作用がでる)、胸部大動脈、気管支喘息の発症および憎悪、結核の発症および再発、特発性肺繊維症、う蝕(虫歯)、口腔インプラント失敗、歯の喪失、閉経後女性の骨密度低下、大腿骨近位部骨折、関節リウマチ、認知症および日常生活動作、女性の生殖能力の低下、妊婦の子宮外妊娠・常位胎盤早期剥離・前置胎盤、妊婦の子癇前症・妊娠高血圧症候群(PIH)などがあります。

また未成年者の場合(喫煙開始年齢が若いことによる)は、全死因死亡、ガン死亡、循環器の病気による死亡、ガンに罹るリスク増加などの影響があります。また脳の発達に永続的な悪影響をもたらす可能性も指摘されています。
若者の喫煙の問題点には、健康影響が大きい、より高度なニコチン依存症に陥りやすい、喫煙以外の薬物依存の入り口となることが挙げられます。

喫煙者のいるところにいるだけで、タバコから立ち昇る煙や吐き出す煙に含まれるニコチンやタールなどの有害物質を吸ってしまいます。
それが受動喫煙です。
受動喫煙でも、血管内皮細胞の不全や炎症を引き起こし急性心循環器系発作や血栓症の原因となります。
受動喫煙との関連が確実とされたものには、肺ガン・虚血性心疾患・脳卒中・乳幼児突然死症候群(SIDS)があります。
受動喫煙の肺ガンのリスクは1.28倍、虚血性心疾患のリスクは1.3倍、脳卒中のリスクは1.24倍とされています。

さらに子供の呼吸器疾患や中耳炎、SIDSを引きおこすことが指摘されています。
両親の喫煙は小児の呼吸器症状の原因で、肺の発達を遅らせます。
また妊婦やその周囲の人の喫煙によって低体重児や早産のリスクが上昇します。
受動喫煙への曝露には、リスクフリーのレベルはないことが科学的証拠で示されています。

受動喫煙との因果関係を示唆されている病気は、鼻腔・副鼻腔ガン、乳ガン、急性の呼吸器症状(喘息患者・健常者)、急性の呼吸機能低下(喘息患者)、慢性呼吸器症状、呼吸機能低下、喘息の発症・コントロール悪化、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、妊婦への影響で低出生体重・胎児発育遅延、小児への影響では喘息の発症・重症化、呼吸機能低下、中耳の病気、う蝕(虫歯)、学童期の咳・痰・喘鳴・息切れなどがあります。