脂肪の種類

太るとは脂肪が増えることを指すので、筋肉を増やして体重が増えても太ったとは言いません。
年齢を重ねると筋肉は自然に減っていくので、何もしないのに知らず知らず筋肉が自然に増えることはまずありません。
筋肉が減れば、基礎代謝量も減るので、食事の内容や量が変わらなければ、食事でとったエネルギーを消費できず、脂肪になって蓄積していきます。
これが、食事の量が変わらないのに体重が増える理由です。

脂肪には皮下脂肪・内臓脂肪の他に異所性脂肪があります。
皮下脂肪とは、皮膚の下にあるつまめる脂肪のことで、つきにくく、一度つくとおちにくいものです。

内臓脂肪とは、お腹の中の腸間膜にたまるもので、過剰にたまるとお腹がぽっこり出てきます。
内臓脂肪は肝臓に影響しやすく、さらに内臓脂肪から出るアディポサイトカイン(脂肪由来分泌因子)は、糖尿病・高血圧・動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすと言われています。
ですが、内臓脂肪は、エネルギーに変えられやすいので、食事に気をつけ、運動をすると、皮下脂肪に比べて減らしやすいと言われています。

異所性脂肪とは、肝臓や筋肉など本来はたまるはずがない所にたまる中性脂肪のことです。
皮下脂肪や内臓脂肪のように脂肪組織ではないので、見た目ではわかりません。
肥満ではないのに糖尿病、などの原因の一つと考えられています。
異所性脂肪は肝臓に貯まれば脂肪肝に、筋肉に貯まれば脂肪筋となります。
増えすぎた内臓脂肪から脂肪酸が流れ、筋肉が糖質を使えなくなると糖が流れてきます。
するとインスリンが肝臓に働いて糖から中性脂肪を作り出します。
肝臓は細胞の50〜60%くらいまで脂肪を蓄積できますが、そうなると、肝機能は低下し、肝炎や肝臓ガンのリスクが高まります。
筋肉にたまる脂肪は糖尿病の方で4〜5%くらいですが、筋肉にたまる異所性脂肪は短期間で増え、インスリンの効き目も低下すると言われています。
インスリンが作用することによって血中のグルコース(ブドウ糖)を取り込み、エネルギーにしたり、脂肪を作ったりするので、インスリンが効きづらくなると、糖の取り込みがされづらくなります。
これがインスリン抵抗性の糖尿病です。
異所性脂肪が病気の原因になるのは、皮下脂肪や内臓脂肪にため込まれている状態では安定していた脂肪が、その容量を超えて異所性脂肪となると不安定になり毒性を発揮するのでは、と言われています。
欧米人に比べ、アジア人は太りにくい性質をもつ一方で肥満に伴う合併症にはかかりやすいといわれます。
アジア人は皮下脂肪や内臓脂肪をためる能力が低い傾向があり、さらに皮下脂肪でためきれなくなった脂肪が、内臓脂肪にたまらず、一足飛びに肝臓や筋肉にたまることさえあります。
見た目が太っていないからといって、食事に無頓着であったり、運動をしなくてもいいというわけではないのです。

同じ食事をとっていても、筋肉に脂肪が溜まりやすい人と溜まりにくい人の差は、よく歩くかどうかです。
食事自体もそうですが、身体を動かすことはとても重要です。