ビタミンのはたらき
ビタミンは体の働きを調節したり、スムーズにしたりする栄養素で、油やアルコールに溶けやすい脂溶性ビタミンA・D・E・K★と、水に溶けやすい水溶性ビタミンB郡・C♢などがあります。
ミネラル同様に食品に含まれる量はとても少ないのですが、同様に体内で作り出せないので日々食事でとり続けることが大切です。
★脂溶性ビタミン
A…発育を促したり、肌の健康を維持したり、視覚の暗順応や、粘膜を強くして細菌から身体を守ったりします。
不足すると暗いところで目が見えなくなるほか、皮膚および粘膜の乾燥や角質化などが生じるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります。
普通の食事で取りすぎる心配はありませんが、サプリメントなどでとりすぎると肝障害をおこす可能性があります。
レバー、うなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵、緑黄色野菜など
D…小腸や腎臓でカルシウムやリンの吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨を作ります。食べ物だけでなく、日光を浴びることで体内で作り出せます。
不足すると骨や歯の形成がうまくいかなくなり、成人では骨軟化症の原因になります。
通常の食事でとりすぎることはありませんが、サプリメントなどでとりすぎると高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化など過剰症になるおそれがあります。
魚介類、卵類、きのこ類など
E…抗酸化作用により体内の脂質の酸化を防ぐので、細胞膜の酸化による老化や血中のLDHコレステロールの酸化による動脈硬化などの予防が期待できます。
不足するとまれに感覚障害や神経障害がみられます。通常の食事ではとりすぎることはありませんが、サプリメントなどでとりすぎると出血傾向がみられます。
ナッツ類、植物油、魚介類、西洋かぼちゃ、アボカドなど
K…出血した時に血液を固めて止めることを活性化したり、骨にあるタンパク質を活性化し、骨の形成を促します。腸内細菌でも作られます。
不足するということはほとんどなく、過剰症などもありませんが、抗生物質を長期間のみ続けている方は腸内細菌が死滅しているので、そこからの供給が足りず不足する場合があります。
納豆やほうれん草などの緑黄色野菜など。
♢水溶性ビタミン
B1…糖質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持に使われます。不足すると糖質がうまくエネルギーに変換されないので、疲れやすくなります。さらに不足すると脚気になります。食事によるとりすぎはほぼありませんが、サプリメントなどで大量摂取した時に頭痛、いらだちなどや、かゆみなどの皮ふ症状が報告されています。
豚肉、レバー、豆類など。
B2…皮膚や粘膜の維持を助け、糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変える代謝に関わります。不足すると口内炎など皮膚や粘膜に炎症が起きやすくなります。とりすぎによる過剰症はありません。
レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉菜類など
B6…タンパク質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液が作られるときに働いています。タンパク質を多くとる人ほど必要になります。
不足すると、湿しんなどの皮ふ炎や口内炎、貧血、脳波の異常などがおこります。腸内細菌でも作られることから通常は不足することはないのですが、抗生物質を長期間飲んでいる方は不足する場合があります。
通常の食事でのとりすぎはありませんが、サプリメントでビタミンB6作用をする物質のうちピリドキシンを大量にとった場合感覚神経に障害がみられたという報告があります。
バナナ、魚類、レバー、肉など
C…コラーゲンを作り皮膚や粘膜の健康を維持するほか、ストレス抵抗力を強めたり、鉄の吸収をよくします。抗酸化作用により、活性酸素から身体を守るため、動脈硬化や心疾患の予防が期待されます。ストレスの多い人ほど必要なビタミンです。
不足すると、寒さや細菌に対する抵抗力が下がってカゼなどの病気にかかりやすくなったり、骨の発育が不十分になったりします。
長期間不足すると壊血病になり、身体の各所から出血したり関節が弱くなります。
通常の食事からとりすぎても水溶性なので尿で排泄されるため問題ありませんが、サプリメントでとりすぎると吐き気、下痢、腹痛といった胃腸への影響が報告されていて、腎機能に問題がある人では腎結石のリスクが高まることから注意が必要です。
柑橘類、いちご、野菜、いもなど