異所性脂肪
若者も中高年も気になるのが体脂肪。
多すぎると、怪我や病気にかかりやすくなります。
体脂肪には、皮下脂肪、内臓脂肪のほかに異所性脂肪があります。
皮下脂肪は、プニプニとつまめる脂肪です。
内臓脂肪は、ぽこんと突き出たお腹が特徴的な脂肪で、糖尿病や高血圧、高脂血症などのリスクが高くなります。
異所性脂肪は、本来脂肪がとどまるべきではない内臓や筋肉に蓄積される脂肪のことで、糖尿病や動脈硬化などのリスクが高くなります。
日本人は皮下脂肪より異所性脂肪が貯まりやすく、欧米人に比べるとインスリン分泌が少なく、そんなに太っていなくても糖尿病になりやすい体質の方が多いです。
異所性脂肪がつきやすい部位は、膵臓・肝臓・心臓(血管)・筋肉などがあります。
内臓に異所性脂肪がたまるとどうなるの?
「異所性脂肪の代表的なものが脂肪肝です。
お酒を飲まない人でも脂肪肝になる場合があり、それが非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)です。
NAFLDの多くは肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを基盤に発症することから、メタボリックシンドロームの肝病変としてとらえられています」
「NAFLDの脂肪蓄積の程度は、内臓脂肪の蓄積と比例していることがわかっています
つまり、内臓脂肪が蓄積されるのと並行して肝臓にも脂肪がたまり、それがのちに肝硬変や肝がんの原因にもなりかねない、ということなのです。
また、異所性脂肪は心臓の周辺、心筋細胞内・外、心外膜周囲にも付着します。
すると心臓に酸素や栄養を運ぶ血管に悪影響を与えることがあり、最悪の場合、心筋梗塞などを引き起こす原因になるとも考えられています。
男性では特に、加齢とともに心臓周囲脂肪量が蓄積する傾向があるとされています。
また、異所性脂肪蓄積によって肝臓や筋肉の慢性炎症が起こったり、インスリンの働きが悪くなることで、脂質異常症、耐糖能障害、高血圧症のリスクが重なり、心臓血管病が起こりやすくなると想定されています」
筋肉に脂肪が貯まるとは、遊離脂肪酸が筋細胞に過剰に蓄積しているということです。
運動不足や高脂肪食、つまり摂取したエネルギーが消費されず余る生活をし続けると、異所性脂肪がついてきます。
異所性脂肪を増やさないようにするには、運動不足を解消し、高タンパク低脂肪の食品を選ぶことが大事です。