やせのリスク
日本人の20代女性の21.7%がBMI18.5未満のやせ(低体重)です。
遺伝的な体質で痩せている人なら問題ないのでしょうが、多くはそうではないので、さまざまなリスクが懸念されています。
日本の女性のやせ過ぎ問題とその栄養対策
「女性会社員約150名に参加して頂きました。平均年齢24歳、身長160cm以上、体重45キロ以下、足も細くて、皆さんとっても格好いいスタイルでした。
心配になって血液中のビタミン‐D を測ってみたところ、とても低く、さらに骨量を測ると、「骨粗しょう症」と診断せざるを得ない例すらいました。
加えて筋量も少なく、「サルコペニア」と診断されるケースも多く見つかりました。
なぜ、そんなことになっているのかと詳しく聞いてみると、日焼けが嫌、そもそも歩くのが嫌い。
太るのが嫌だから糖質を摂らない。
そして実は無月経に悩んでいると言うのです」
「やせ」の影響は赤ちゃんにも?
「やせ」は栄養不足の結果と言えます。
体に必要な栄養が不足すると筋肉量の低下などとともに、月経異常や無月経などが起こることもあります。
生理が止まるということは卵巣から女性ホルモンが正常に分泌されなくなるということ。
つまり更年期の閉経と同じような状況になります。
骨量が低下して骨粗鬆症になったり、卵巣が正常に機能しなくなったりすると不妊にもつながります。
また、女性が「やせ=低栄養」状態で妊娠した場合、2500g未満の低体重児の出産につながることもあります。
日本では現在10人に1人の赤ちゃんが低体重で生まれています。
この低体重で生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高くなるということがわかっています」
食べない、運動しない「若い女性のやせ」に潜む糖尿病リスク
「耐糖能異常とは、血糖を下げるインスリンというホルモンの分泌が低下したり、その効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じたりしている状態。
体内の糖をうまく処理できないため、糖の摂取から2時間経ってもまだ高めの血糖値が持続している」
「標準体重の若年女性の耐糖能異常の割合は1.8%、一方、やせた若年女性では13.3%だった。
標準体重の女性に比べ、やせた女性は実に7.4倍も耐糖能異常の割合が多かった」
「米国の肥満者の耐糖能異常の割合は10.6%と報告されている。日本のやせた若年女性は、それすらも上回っていた」
「やせた若年女性は標準体重の女性に比べて、体重が少ない、特に筋肉量が少ない、身体活動量が少ない、エネルギー摂取量が少ない、という特徴がある」
「インスリン分泌の低下だけでなく、インスリン抵抗性、つまりインスリンの効きにくさも中年肥満者と同程度に生じていることが明らかになった。
また、血中の遊離脂肪酸濃度も高かった」
「やせた若年女性は肥満者と同様の代謝異常に陥っており、いわば『代謝的肥満』と呼べる状態にある」
「脂肪筋というのは、筋肉の細胞に脂肪がたまった状態を指す。
脂肪細胞から漏れ出た遊離脂肪酸が筋細胞に過剰に蓄積したもので、いわゆる異所性脂肪と呼ばれるものだ。
この異所性脂肪は筋肉の細胞の中で毒性を発揮し、インスリンの効きを悪くする作用がある。
こうして筋肉のインスリン抵抗性が生じ、耐糖能異常につながったと考えられる」